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Oil Lover’s Note #01 「都会で暮らす私を救った、ホホバオイルの思い出」 アロマデザイナー 金子史絵
COLUMN2021.05.24

Oil Lover’s Note #01 「都会で暮らす私を救った、ホホバオイルの思い出」 アロマデザイナー 金子史絵

ホホバオイルは、実はオイルではなかった?!スペシャリストが教えてくれる、楽しいオイルのお話


Oil Lover’s Noteは、オイルLoverによる、オイルLoverのためのエッセイコラム。主役の一つのオイルにまつわる物語やあたたかい記憶、面白くて、ちょっと勉強になるオイルのウンチクも。

情緒的に、科学的に、時には哲学に富んだ形で、オイルの世界をお届けします

心の支えとなったホホバオイルの存在

私がオイルケアに最初に出会ったのは、都内の広告代理店で働いていた20代の頃だ。ある年の正月休みに地元に帰省した私は、百貨店で買い物をしていた際にたまたま通りかかったアロマショップのスタッフの方に「鼻から深呼吸してみてください。とても気持ちが良いですよ」と言って、頭からアロマミストをふりかけてもらった。ハーブや花の香りに全身が包まれたその時の感覚は、今でもとても鮮明に覚えている。

当時、都内で一人暮らしをしていた私は、日々の忙しさの中に漠然とした不安や心細さを感じていた。そのため、身体がとても緊張し、肩や首などの全身が凝り固まっていた。長い間、まともに深呼吸さえしていなかったように思う。

その時、お勧めされて買ったのが、ホホバオイルをベースとしたマッサージオイルだった。私が人生で初めて使ったオイルケアのアイテムだ。ラベンダーやゼラニウムなど、華やかで落ち着きのあるハーブのアロマは、リラックス効果があり副交感神経を刺激するのでよりマッサージ効果が高まるとのことだった。

私は、その日から、夜眠る前にそのオイルを全身に塗布することが日課になった。毎日の忙しさや一人暮らしでの心細さは変わらずにあったが、「夜、毎日このオイルでマッサージする」時間があることが、不思議と心の支えになっていた。もちろんエッセンシャルオイルの素晴らしい香りが、実際に私をとても癒してくれ、香りを嗅ぐ瞬間には自然と深い呼吸ができるようになっていた。

アロマオイルとキャリアオイルの密な関係

アロマテラピーでは、ホホバオイルをはじめとする植物油のことを「キャリアオイル」と呼ぶ。キャリアオイルというと、植物油自体には価値がなく、単にエッセンシャルオイル(アロマオイル)のキャリアー(運ぶもの)として使用するものと思われがちだ。しかし、実際にはその種類によって使用感や効果効能、栄養素等が異なるので、キャリアオイル選びは、ものすごく大切な課題だと感じている。

私の感覚からすると、アロマオイルとキャリアオイル、両者はいわばドレッシングと野菜のような関係だ。先立って嗅覚や味覚を刺激するドレッシング(=アロマ)は、サラダを美味しく食べられるかの決め手にはなるが、実際はそれを絡める野菜のリーフ(=キャリア)に栄養素が含まれていて、健康に大事だったりする。シナジーによってはじめてパワーが発揮される、両方あってこそのオイルケアだと思う。

そして、そのキャリアオイルの代表格とされるは、「奇跡なオイル」と崇められるホホバオイルだ。

実はオイルではなかった、ホホバオイルの真実

ホホバという植物が初めて記録されたのは1882年、イギリスの植物学者リンクがメキシコ北部のバハカリフォルニアに到着し、野生のホホバを観察したときのことだ。この植物を、イギリスの植物学者で探検家でもあったシモンズの名を取って、「Simmondsia chinensis」と名付けた。他の植物油と比較して、最もユニークなオイルと言っても過言でない。

実はホホバオイルは科学上、いわゆる「油脂」ではなく、「液状ワックス=ロウ」に分類される。ロウ類は、化学構造上「炭素」の数が多いのが特徴で、その炭素がお互い緊密に手を繋がっているため、肌についている水分や、空気中の酸素に触れても性質が変化しにくく、分子が安定している。例えると芯の強い真面目な子。どんな環境に置かれても周りに染まることなく、ずっと変わらない、見ていて安心な存在。

実際、酸化が天敵なオイルですが、ホホバオイルにおいては劣化することがほとんどない。その上抗酸化作用が強いビタミンEも多く含まれるため、化学的な保存料を添加する必要がなく、肌にとってとても安全だ。

他のオイルと比べて使用とよく分かるが、使い心地は比較的軽めで、肌への馴染みが良いため、乾燥肌や敏感肌だけでなく、脂性肌の方にもとても向いている。正しく万人向けする奇跡なオイル、人気なのも頷ける。

後記

振り返ると、私が初めて出会ったキャリアオイルがホホバオイルだったことは幸運のように思う。オイルといえば、べたついたり、使用後にふき取りが必要なイメージを持っていたのだが、ホホバオイルは滑らかで優しい質感で初心者にもとても使いやすい。また、幼い頃からアトピー性皮膚炎に悩まされてきた私でも、肌に刺激を感じることがなく安心して使うことができた。

ホホバオイルは、初めて出会ったあの時からずっと、私の全てを優しく包んでくれる大切な存在だ。

アロマデザイナー / 金子史絵

広告代理店勤務を経て、精油商社・アロマブランドメーカーにて商品開発やマーケティングに従事する。これまで約100社に及ぶアロマオイルを使用した香りの開発や、オーガニックコスメブランドの企画・デザインに携わる。シーンやコンセプトに合わせた香りづくりや、女性のライフスタイルに寄り添ったブレンド精油の制作を得意とする。日本アロマ環境協会アロマテラピーアドバイザー資格、アロマ空間コーディネーター資格。